インタビューそのA

宝塚を卒業しこれから・・・
★★★汐風幸さん




 
内容は発行した時点での内容です
 

汐風幸(しおかぜこう)プロフィール


★ 汐風幸(しおかぜこう)

東京都出身。目黒区在住。

1988年宝塚歌劇団入団。
2003年8月、16年間の宝塚生活に終止符を打つ。
男役スターとして活躍し、幅広い演技力から絶大な評価を得る。
代表作には『心中・恋の大和路』の亀屋忠兵衛。
テレビドラマにNHK『ルームシェアの女』。CMなどがある。

その他、来年(2006年)2月『ニューヨーク青春物語』と3月には『私生活』の再演が決まっている。





前号から引き続き、汐風幸さんのインタビューを掲載します。
宝塚時代のこと、家族について、
地元目黒のこと、そしてこれから・・・。
ロングインタビューの後半部分をご覧下さい。




<宝塚『心中・恋の大和路』>

汐風さんの代表作のひとつが『心中・恋の大和路』。この作品は歌舞伎でおなじみの近松門左衛門の名作『冥途の飛脚』を基に宝塚がミュ−ジカルとして現代風に演出したもの。汐風さんが演じた忠兵衛役は父親の当たり役でもある。

「素敵な作品ですし主役をやらせていただける嬉しさがありましたが、正直プレッシャーも大きかったですね。ただ、兄は女形ですし、従兄弟たちもその頃はまだ父や祖父が得意にしていた忠兵衛役はやっていなかったので、男役として宝塚にいるからこそ挑戦できるこの役をさせていただけたことはとても光栄でした。ただ、関西弁で話さないといけない役なので東京生まれの私にはそれがとにかく難しかったですね。音を覚えるように言葉を頭に入れて作り上げていく作業が大変でした。歌舞伎とミュージカルという表現の違いはあれ、良い経験をさせていただいたと思います」。


<外部出演で得たもの>
宝塚在籍中の外部出演も貴重な経験になった。

「実は宝塚を辞めたら女優としての活動などは考えていなかったんです。
宝塚で自分が望んだ以上のことをさせていただけたので、この世界はこれで終わりにしよう、これだけやってきたのだからもうこれ以上のことは経験できないだろうと
思っていました。
でも外部出演で宝塚以外の方たちとお芝居をした時に、自分自身未熟なところがいっぱいあったし、まだまだ勉強しなければいけないことが山ほどあるって気付いて。これで十分なんて思っちゃいけないなと感じました。
このこともあり新しい自分に挑戦してみたくなり、退団後は女優として新たな一歩を踏み出そうと考えました」。

<家族のこと>
父(片岡仁左衛門)と兄(片岡孝太郎)は歌舞伎俳優、妹(片岡京子)は女優という役者一家のご家族だが、
汐風さんに分析してもらうと・・・

「父はとにかくやさしいですね。以前私が風邪をひいている時に廊下で電話をしていたら、自分の上着を脱いでそっと私に掛けてくれたんですよ。母に対しても他の人に対しても、そういう何気ないやさしさや気配りが自然に出来る人です。 芝居に関しては厳しいですが、歌舞伎が大好きで役者が天職と思えます。
     
母は特に仕事に関しては周りにも自分にも厳しい人です。小さい頃から私も怒られることがありますが、厳しくされることがどれだけ自分にプラスになるか身をもって教えてくれました。自分が大人になって、ますます素敵な女性だなって最近思うようになりましたね。

兄は、とにかくまじめですね。こっちが舞台を観にきてねと言わなくても時間があるときは必ず観に来てくれます。色々な面で誠実かな。

 妹と私は子どもの頃2人で留守番する機会も多かったので、妹に嫌な思いや悲しい思いをさせたくないっていう気持ちがいつもありました。でも実際、兄弟の中で一番芯が強いのは妹ですね。何ごとにおいてもすごい頑張りやさんだと思います」。

<目黒について>
「目黒には中学1年生の時から住んでいます。宝塚時代は東京公演中しかこちらにいなかったので、あまり出歩けなかったのですが、最近中目黒を歩いてみて随分街の様子が変わっていること気付き驚きました。
私は目黒川沿いの桜並木の景色が大好きですね。新しいお店を見て歩くのも楽しいですが、私が子どもの頃からあるようなお店にも心惹かれます」。

<やりたいことがたくさん!>

「以前撮影で馬に乗ったことがあり、今とても乗馬に興味があります。今年『ジンガロ』という馬と人のショーが来日していたのですが、その方々とお話しする機会があり、馬の話を聞いたらますます乗りたくなりました。他には英会話やサーフィンも興味あるし、オーロラも見てみたいし、日本にある世界遺産巡りとかもしたいですね。世界が認めたものってすごいじゃないですか。本物をこの目で見たい!と思います。

仕事面では映画をやりたいですね。時代劇とかも面白そう。自分に合ったものをやりたいと思う反面、新しい自分を引き出してくれるようなものも挑戦していきたいです。色々な私の姿を温かく見守っていただけたら嬉しいです」。

最後に何か言いたいことは?と尋ねると
「みんながマナーを守ってタバコのポイ捨てなども減って、街がキレイになるといいなぁ」とお茶目な一面も。汐風さんらしい温かさに包まれたひとことでした。