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2010春特大号(No.43)

 

伊礼彼方さん インタビュー

 
伊礼彼方さん インタビュー
 
 
伊礼彼方さん インタビュー
 
伊礼彼方さん インタビュー

伊礼彼方さんプロフィール
1982年2月3日生まれ。

中学生の頃より音楽活動を始め、
ライブ等に多数出演。

2006年、ミュージカル『テニスの王子様』
で舞台デビュー。 2008年にはミュージカル
『エリザベート』ルドルフ皇太子役に大抜擢。
その後は『GLORY DAYS/グローリー・
デイズ』 『The Musical AIDA(アイーダ)』
『Garantido-生きた証-』ほか、舞台を中心に
活躍。

今後は『絹の靴下〜SILKSTOCKINGS〜』
(5月青山劇場/6月シアター・ドラマシティ)、
9月6日〜10月3日は『エリザベート』(帝国
劇場) に出演予定。

 
伊礼彼方さん インタビュー

 ブロードウェイ版のCD を聴いた瞬間に、気持ちが持っていかれて「この曲かっこいい!
この作品に出演したい!」と直感的に思いました。全編歌を中心に綴られているので、
心理描写も音楽を通して行われているんです。例えば、“ 愛のトンネル”という曲は
転調したり変調したりしながら、それぞれの登場人物の心情が表されていて、それが
合わさってひとつの曲になっています。そういうところは、まさにミュージカルの醍醐味だと
思いますし、とても好きですね。

 
伊礼彼方さん インタビュー

 ホテルの客席係をしながらメジャーデビューを夢見ている、まだ底辺にいるミュージシャン
役です。ヴァイオレット・ヒルトンとデイジー・ヒルトン姉妹に出会い、この2人を売り出したいと
働きかけるのですが、本心は「どんな手を使ってでも自分も有名になりたい、上にのぼってやる」
という野心があります。僕も中学生の頃から音楽活動をしていて、路上ライブをやっても誰も
立ち止まってくれず「いつか有名になってやる!」という強い思いはありましたので、この気持ちは
すごくよく分かります。この役は、ずっと高い声で歌ったり話したりしているので、時々自分の
地声が分からなくなりますが(笑) テンションの高いアメリカ人を演じられたらと思います。

 
伊礼彼方さん インタビュー

 僕が演じるバディはヴァイオレット・ヒルトンに恋をします。しかし、ヴァイオレット・ヒルトンと
デイジー・ヒルトン姉妹は結合双生児なんです。腰の部分が繋がっているので、いつも2人一緒。
なぜバディはヴァイオレットを愛したのか・・・。最初は同情のような気持ちで付き合い、舞台の
上で輝いている彼女のいいところだけを見ようとしますが、どこか差別的な気持ちが常に心の底に
あるんですね。そういう意味では一番リアルに描かれているのが僕の役なんじゃないかと思います。

 僕はハーフで、6 歳まで海外で過ごしたので外国人だという目で見られ、同級生の言う何気ない
言葉に傷ついたこともありました。僕自身が変わり始めてからはそういうことはなくなりましたが、
バディが彼女に対して同情し、救ってあげたいという気持ちを持ったのもよく分かります。このような
ハンディを持った人たちが見世物小屋のフリークスとして出演しているというところも考えさせられ
ますね。実在したこういう方々の映像を見たら呼吸が出来なくなるほどの感情が込み上げてきました。
演出家からは、「自分たちがそういう方たちを差別的な目で見ているのか、もしくはその反対なのかを
お客様に感じていただけるものが出来れば」と言われています。観てくださる方が何かを感じ取って
くださるものにしたいですね。

 
伊礼彼方さん インタビュー

 路上ライブで音楽活動をしていたとき、ミュージカルのオーディションを受けてみないかと声を
かけられました。ミュージカルという世界のことを全く知りませんでしたが「音楽活動も芽が出ないし、
あるのはギターと自分だけ…」という状況でしたから、挑戦してみようと思って受けに行きました。
それが縁でミュージカル『テニスの王子様』で舞台デビューすることになりました。その後またしばらく
仕事がなくて、心が折れそうになったときに今のマネージャーと出会い、ミュージカル『エリザベート』
のルドルフ役を受けてみないか?という話があり「これが駄目だったらもう辞めよう」という決意で
臨んだオーディションでしたね。このルドルフ役をやらせていただいたときから自分の人生ががらっと
変わったような気がします。

 
伊礼彼方さん インタビュー

 ここのところ色々な役をさせていただき、とてもありがたく思っています。不思議なことに自分自身の
プライベートで何か乗り越えられない壁が出来たときも、演出家と役作りについての話をしているうちに
その答えが見えてきたりすることがあるんです。色々なことが繋がって、1 歩1 歩階段を昇れる仕事を
させていただいているなぁと感謝していますし、どんな経験も無駄なことはないなと感じています。

 この前出演した『Garantido-生きた証-』は、境遇が自分と重なるところもあり、自身に向き合う
きっかけとなりました。今までこういったことを両親と心を割って話したことがなかったのですが、この
作品を機に色んな話をしました。今、思うのは、自分たち兄弟が幸せになることが親にとって一番
喜んでくれることなんじゃないかと。それを更に後世へと伝えていけたら幸せかな。

 自分が今頑張っていられるのは両親や皆さんのお陰だと思っています。これからも新しい引き出しを
増やして俳優として、人間として、成長していく過程を見せていけたらと思います。

 

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